漁師の夢、挫折、1200万詐欺被害… 波乱万丈社長の歩んだ道
- harebarenakamura
- 2月1日
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更新日:4月1日

株式会社TAF 代表取締役。大学卒業後、長崎に戻り家業のサッシ・建具事業に従事。アルミサッシ営業から木製建具の開発・現場施工まで幅広く担当した。2000年頃にはリフォーム事業を発案し、自ら立ち上げを推進。多様な実務経験を活かし、現在は2代目社長として地域に根差した建具・リフォーム事業を牽引している。
■プロフィール
田中清隆
1969年生まれ
長崎県出身
株式会社TAF 代表取締役
自己紹介と、これまでの経緯は?
田中清隆です。1969年生まれ、55歳です。実家はサッシ屋でしたが、祖父が漁師をしていたので、中学3年生までは漁師になることが夢でした。色々ありまして、普通科の高校に行きました。その後、大学に行きたくなり、東京の駒沢大学にたまたま合格しました。吉野家で3年半ほどアルバイトをする中で、外食産業は面白いと感じ、そこで外食産業に目覚めました。
父の後継という形も親戚から言われつつ、その頃は反発ではないのですが、外食をやりたいという思いがありました。しかし、親のレールに敷かれて、戻されるルートができていた、という状況でした。24歳になる前ぐらいに、長崎に呼び戻されました。

長崎に戻られて、最初はどのような仕事をしていましたか?
東京での学生生活や、千葉での社会人経験を経て、長崎に戻りました。長崎に帰る前に、親の知り合いの建具屋さんに「4、5年勤めたらどうだ」と言われ千葉で働いていたのですが、自分の好きなことができるようになると思っていた矢先に(長崎に)呼び戻されました。
長崎に戻ってからは、2年ぐらいアルミサッシの営業をしていました。都会の商売と長崎の商売は全然違いました。物量の違い、単価の違いに苦しみました。当時、東京では月に2000万、3000万、5000万円と売り上げていましたが、長崎では500万、1000万円ぐらいの世界でした。頑張っても頑張っても1000万円行くか行かないかという状況で、やる気が出ませんでした。
その後、父がアルミサッシ事業から木製建具事業を始めました。そこで、工場を建てたりする中で、営業、開発、カラー作り、現場仕事と、何でもやりました。当時は営業でしたが、現場で色々なものを取り付けたり、怪我もしました。

リフォーム事業を始めたきっかけは?
このまま下請けで良いのかという思いがありました。2000年ぐらいに一念発起し、リフォーム事業を始めました。
父の会社の休眠していた小さな会社を買い取らせてもらい、二足のわらじで、昼間はアルミサッシの営業や現場をしながら、夜はリフォームの営業をしていました。顕在の仕事が6時、7時に終わり、そこからリフォームの見積もりなどをしていました。新婚でしたが、帰りはほぼ11時、12時でした。
漁師になるという夢は、いつ諦めたのですか?
中学の夏休みの後半、私は水産高校に行くつもりでしたが、突然、盆過ぎに祖父から呼ばれ「明日から来るな」と言われました。
「お前はサッシ屋の息子だ。漁師にはさせない」と。目も合わせず、涙を少し流しながら言われました。「親父が何か言ったな」と思いました。
祖父から「来るな」と言われ、それでも「行きます」と言いましたが、「いや、お前はもうダメだ。漁師にはさせない」と。その時の祖父の悲しい顔が印象的でした。
高校受験は、水産高校に行くつもりで勉強もしていなかったので、工業高校に行こうかと考えました。工業高校はいくつかありましたが、電子工学科という響きが好きだったので、長崎工業高校の電子学科に行きたかったんです。しかし、私が当時中学校で450人ぐらいいた中で多分280番ぐらい。115番ぐらいまで行かないと入れないと言われ、家庭教師をつけてもらい、4ヶ月間睡眠時間3時間で勉強しましたが、見事落ちました。

1200万円を騙し取られた経験について、詳しく教えてください。
営業の仕事に慣れてきた頃、通常では考えられないほど好条件の取引を持ちかけられました。当時は、支払いの多くが手形や半金半手形(半分現金、半分手形)で行われるのが一般的でしたが、「4ヶ月間、全て現金で支払います」というお客様が現れたのです。そのお客様は、金平戸にある補正工場の関連会社だと名乗っていました。
通常ではありえない好条件に、最初は「すごい話が来た」と喜びました。しかし、父は「何かおかしい。やめておけ」と強く反対していました。それでも、私は取引を続けてしまいました。
取引額が1200万円ほどになった頃、突然、先方から「支払いができません」と連絡がありました。慌てて、先方の本社があるという大阪の住所を調べてもらうと、そこにあったのはマンションの模型があるだけの空き部屋でした。完全に計画的な詐欺だったのです。
若者へのメッセージをお願いします。
私は、田舎で育ち、祖父母、叔父叔母など、若い頃から大人の意見をよく聞くことができました。それが、私の人生に大きく影響しています。
若い人が大人と話すとなると、床屋の店主や携帯ショップの店員など、限られてくると思います。就職活動では、いきなり社長や部長と話さなければならない。そのような中で、大人と接することを勧めたいです。
例えば、「YouTubeを見ました」と声をかけてくれるだけでも良いです。私も、大学生と高校生の親子から相談を受け、「設計や建築をやりたいけれど、どういうところがいいか」と聞かれたことがあります。「遊びにおいで」と誘い、高校生と大学生の2人が来て、話をしました。企業訪問や資料請求をする前に、裏話なども含めて、色々なことが分かります。
大人と、ざっくばらんに喋れる場所。社長、部長、平社員、学生、関係なく話せる場所。そのような場所で、「ちょっと、これどう思う」と、気軽に話せる大人を作った方が良いと思います。
株式会社TAF (本社) 長崎県長崎市古賀町1018-1
代表者 田中清隆
事業内容 住宅建材販売、リフォーム、住宅販売など




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